船橋市 サラリーマン川柳の大賞作品で振り返る、平成の30年間
第一生命保険が毎年発表している「サラリーマン川柳」(以下「サラ川」)は1987年(昭和62年)に始まり、平成の歴史と重なる。大賞に選ばれた句を紹介しながら平成という時代を振り返る。(ダイヤモンド・オンライン編集部 小野寺暁子、取材協力/第一生命、第一生命経済研究所)
● サラリーマンが「五・七・五」に込めた思い
「サラ川」の歴史を振り返ると、サラリーマンにとって切り離すことができない、仕事や夫婦、家族関係、健康、流行など幅広い分野の世相を反映していることが分かる。
第一生命経済研究所の的場康子ライフデザイン研究部主席研究員によると、「『働き方』にスポットを当ててみると、女性の社会進出が進み、共働き家庭が多くなったことで、男性が家事や育児に協力的になってきた様子がうかがえる。一方で、仕事量が多くて残業が多く、休みを取りづらい、無駄な会議や残業、そして職場のコミュニケーションの難しさなど、いまだに克服できてない課題が残っていることに気づかされます」と話す。
では、サラリーマンが「五・七・五」に込めた思いから平成を振り返りたい。
● 【バブル景気】(1980年後半~)
■1991年(平成3年)第5回(句の後のカッコ内は雅号、以下同)
まだ寝てる 帰ってみれば もう寝てる(遠くの我家)
● 【バブル崩壊】(1990年前半~)
■1992年(平成4年)第6回
いい家内 10年経ったら おっ家内(自宅拒否症)
■1993年(平成5年)第7回
連れ込むな! わたしは急に 泊まれない(紫武都)
■1994年(平成6年)第8回
やせてやる!! コレ食べてから やせてやる!!(栗饅頭之命〈クリマンジュウノミコト〉)
■1995年(平成7年)第9回
『ゴハンよ』と 呼ばれて行けば タマだった(窓際亭主)
■1996年(平成8年)第10回
「早くやれ」 そう言うことは 早く言え(新舞い)
■1997年(平成9年)第11回
わが家では 子供ポケモン パパノケモン(万年若様)
(「ポケットモンスター」を原作としたテレビアニメの放送や、ゲームソフトが発売されブームに)
■1998年(平成10年)第12回
コストダウン さけぶあんたが コスト高(四万十川 信彦)
■1999年(平成11年)第13回
プロポーズ あの日にかえって ことわりたい(恐妻男)
■2000年(平成12年)第14回
ドットコム どこが混むのと 聞く上司(ネット不安)
(米国でドットコムバブルと呼ばれた「ITバブル」が発生)
■2001年(平成13年)第15回
デジカメの エサはなんだと 孫に聞く(浦島太郎)
● 【デフレ経済へ】(1990年代後半~2000年代前半)
■2002年(平成14年)第16回
タバコより 体に悪い 妻のグチ(-小心亭主-)
■2003年(平成15年)第17回
「課長いる?」 返ったこたえは 「いりません!」(ごもっとも)
■2004年(平成16年)第18回
オレオレに 亭主と知りつつ 電話切る(反抗妻)
(子どもや孫を装い「オレオレ」と高齢者に電話をかけてお金を騙し取る「オレオレ詐欺」の被害が増加した)
■2005年(平成17年)第19回
昼食は 妻がセレブで 俺セルフ(一夢庵)
■2006年(平成18年)第20回
脳年齢 年金すでに もらえます(満33歳)
(ニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を筆頭に脳を鍛えるゲームがヒット。2006年に「脳トレ」が新語・流行語大賞のトップ10入りを果たした)
■2007年(平成19年)第21回
「空気読め!!」 それより部下の 気持ち読め!!(のりちゃん)
(女子高生が使っていたKY「空気が読めない」が安倍内閣を揶揄する言葉として使われ、この年の新語・流行語大賞にノミネートされた)
● 【金融危機】(2008年~12年)
■2008年(平成20年)第22回
しゅうち心 なくした妻は ポーニョポニョ(オー マイ ガット)
(宮崎駿監督の映画「崖の上のポニョ」が公開。クイズ番組をきっかけにおバカタレントが流行り「羞恥心」というユニットも結成された)
■2009年(平成21年)第23回
仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い(北の揺人)
(民主党政権が誕生。国の予算の見直しをする行政刷新会議の「事業仕分け」が行われた)
■2010年(平成22年)第24回
久しぶり~ 名が出ないまま じゃあまたね~(シーゲ)
■2011年(平成23年)第25回
「宝くじ 当たれば辞める」が 合言葉(事務員A)
(景気持ち直し局面にあったが、東日本大震災、円高、タイの大洪水もあり景気が低迷した)
■2012年(平成24年)第26回
いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦(マッチ売りの老女)
(ダルビッシュ有&紗栄子、宅間伸&賀来千香子、高嶋政伸&美元、菊池桃子&西川哲など大物芸能人の離婚が相次いだ)
● 【アベノミクス】(2013年~)
■2013年(平成25年)第27回
うちの嫁 後ろ姿は フナッシー(段三っつ)
(船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」がテレビCMに全国の有名ゆるキャラと一緒に出演したことでブレイク)
■2014年(平成26年)第28回
皮下脂肪 資源にできれば ノーベル賞(イソノ家)
(青色発光ダイオードを発明した赤﨑勇教授、天野浩教授、中村修二教授がノーベル物理学賞受賞)
■2015年(平成27年)第29回
退職金 もらった瞬間 妻ドローン(元自衛官)
(熟年離婚が増加傾向。ドローンが改正航空法で「無人航空機」と定義された)
■2016年(平成28年)第30回
ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?(なおまる御前)
(ゆとり世代の男性3人を主人公にしたテレビドラマ「ゆとりですがなにか」がヒットした)
■2017年(平成29年)第31回
スポーツジム 車で行って チャリをこぐ(あたまで健康追求男)
(24時間フィットネスクラブが流行。24時間フィットネスの先駆けと言われる「エニタイムフィットネス」は国内200店舗を突破した)
※川柳、雅号は、すべて応募者の表記にしたがっているため、一部当て字等での表記で掲載しています。
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